「食とデザインとアート」を中心に活動するクリエイティブユニット「holiday」の堀出隼さんと美沙さんに、今に通じる幼少期のエピソードを伺いました!<前編>

インタビュー
「食とデザインとアート」を中心に活動するクリエイティブユニット「holiday」の堀出隼さんと美沙さんに、今に通じる幼少期のエピソードを伺いました!<前編>
◆「holiday」プロフィール 
アートディレクター/堀出 隼さん 料理人/堀出美沙さん
“make everyday happy”をコンセプトに、アート&フードディレクション、ケータリングサービス、イベントの開催や企画運営、パリのデザイン会社との業務提携などを手がける。今年1月には地元葉山に食堂「HOLIZONTAL」をオープン。
http://we-are-holiday.com

HOLIZONATAL

 
 


Q:ご両親はどんな方でしたか? どんなご家庭だったのでしょう?

堀出隼さん(ほりでじゅん、以下隼、敬称略) :

アートやデザイン関係のことを両親から教えてもらったという記憶はないのですが、両親が教師で学校の美術の先生をやっていましたので、いつも身近に触れていたという印象は残っています。それは美術作品に触れていたということではなく、日常の中で見るものや感じることからの印象ですね。

父親は若い頃ヒッピーだったので、ワーゲンバスでヨーロッパやユーラシア大陸を旅して回っていたと聞いています。 車が好きで、自由人で、世界中のさまざまなことに通じているようなちょっと破天荒な人だったと思います。母親は逆に、ろうけつ染めなどをやっていて、和のデザインセンスを持っていた人でした。そういうわけで、家の中も和洋折衷な雰囲気でしたね。こどもながらにも、素敵だなって思っていましたので、そういう意味でいつも身近に美術(アート)的な雰囲気が家の中にあったのだと思います。

 

Q:自由人(!?)だったお父様からは、どんなことを学びましたか?

隼:怒られた記憶がほとんどないんです。父自身が自由人だったからかもしれませんが、ちょっとグレたりしても、何にも言われませんでした。何でもOKな感じでしたね。

ただ一度、父が大切そうにしていたプラモデルを、ちょっと父に抵抗したいことがあってわざと床に叩きつけて壊したときに、もの凄く怒られたことがありました。自分の子どもより大事な何かが(?!)そこにあるんだということを知り、愕然としましたが、好きなものへの情熱という本人以外には解りえないものがあることも理解しました。そのことは、少なからず自分の生き方への影響はあったかもしれません。反面教師的でもあったかもしれませんが…。

ただ、父はいつもは基本的に人に接するのが好きな人で、家に教え子の生徒たちもよく遊びにやってきていました。教え子の中には、いわゆるヤンキーっぽい生徒も多くいました。そんな生徒に慕われる父は、人を見た目で判断せず、ひとりひとりの内面をちゃんと見ている人なんだなぁというのを子どもながらに感じていました。とても懐の深い人だったという印象があります。それは、自分の対人の基本スタンス、とくに子どもに対してのそれに、とても影響を与えているかもしれません。

 

Q:お母様とのエピソードは何かありますか? 

隼:小学校5年生ぐらいの頃、母親の41歳の誕生日プレゼントにと、新聞広告の裏の白い大きな紙に、「おたんじょうびおめでとう」とタイトルを入れて、黒マジック1本で母親の似顔絵を描いてあげたんです。そうしたら、自分が想像していた以上に、母親が涙を流すほどにもの凄く喜んでくれて…。

一枚の絵で、こんなに人を喜ばせることができるのだということを知ってしまいました(!!)。まだ、10歳ぐらいの小学生の時に…。このことは、常に原点のように自分の記憶の深いところにずっとあります。アートで自己表現するアーティストというよりも、人をどうやって楽しませてあげられるのかというデザイナー的視点を強く抱くのは、そういう思いから来ているんじゃないかと思っています。

今、やっているいろいろな活動が求める先は、ハッピーな気持ちをどうやって伝えて広げていくのかということ。それがこの母親の似顔絵を描くことから始まったんだと思っています。そのときの、母親の笑顔が忘れられません。実家には今でもその絵が飾ってあります。

自分がアートやデザインの関係の仕事を志すきっかけになった出来事でした!

なぜか、中学生や高校生の頃の記憶より、小学生の頃の記憶のほうが鮮明で、その頃にいろんなことを決めていたように思います。

Holiday

 

Q:美沙さんのご家庭はどんな感じでしたか? 料理は教えてもらっていたのですか?

美沙さん(以下美沙、敬称略): 箱根で生まれ育ちました。祖父は、箱根の山に畑を買って農薬などを使わずに野菜を育てていて、熱心に畑仕事に取り組んでいました。また、祖母は80歳ぐらいまでレストランで働いていました。そんな姿を見ていたので、野菜や料理は常に身近な存在でした。それから、弟が喘息で体が弱かったこともあって、母が忙しそうにしていたので、自然に母の手伝いをするようになりました。自分としても、早くお手伝いがしたくて、幼稚園のころから洗い物を手伝い、まもなく料理もはじめて、小学校6年生頃までには、たぶん今作る家庭料理はほぼマスターして、ひととおりできるようになっていました。

 

☆美沙さんが作るHOLIZONTALのメニュー
HOLIZONATAL  HOLIZONATAL

 

Q:おふたりとも、小学生のうちに、将来にかかわるものが見えていたのですね!そんなに小さな頃から料理をやらせてくれたのも、ご家庭の教えのひとつだったのでしょうか。

美沙:料理を教えてもらうだけじゃなくて、危ないこととか、基本的なことも、自然に学びました。

のしもちを切る手伝いをするのに新しい包丁を出してもらって、きれいな刃先に見とれて指でなぞって指先を切ってしまったりしましたが、小学生低学年の頃から、自分の体験の中で、台所仕事の楽しさも怖さもいっしょに自然に身につけていきました。

 

Q:こども時代にご両親のほかに影響を受けた人はいましたか? 

隼:祖母がお寺や神社によく行く人で、そこでよく何かを祈っている姿を見かけることが多かったのですが、自分のことを祈っているのではなく、家族の分やそのほかにもたくさんの親戚や自分に関わりがある人たちについて、祈願したりお守りなどをまとめて奉納したりしていました。人のために当たり前のようなこととしてさりげなく手をあわせるというその姿が、子どもの自分の目に焼き付いていました。なぜか「これを継ぐのはおれだ!」と強くそう感じていました(笑)。神仏への祈りに限らず、そういう生き方の基本体質を祖母から受け継いだように思います。誰かのために…、みんなのことを考えて…、そんな風にいつも人を楽しませようとする姿勢が早くから身についたのは、祖母の後ろ姿やそういうまわりの人たちを多く目にしていたからかもしれません。

 

Q:子育てについて心がけていることはありますか?

美沙:まず普通のこと、人がいない部屋の電気は消す、何か道具を使ったら元に戻しておく…みたいなこと、自分も厳しく言われた躾やマナーについてはよく言いきかせてます。

隼:そのほかは、すべて自主性を尊重しています。自分は今でも、自分自身のことをこどもっぽいなと思うところがありますが、それはそれでいいと思っています。ひとつのことにこだわり過ぎないように、あまりいろんなものごとに詳しくなり過ぎないようにしようと心掛けているところがあります。自分の子にも、「まっさらな無知の良さ」みたいな感覚を大事にしてもらえたらと思っています。こちらの趣味をあまり押し付けないように、自由にさせています。自分なりに楽しくやってくれればいい。

 

Q:「無知の良さ」とは?

隼:そういうまっさらな感覚は、シンプルさや分かりやすさを目指すときに役に立つはずだと思っています。それに、まっさらであれば、いろんなものに触れたときに、得るものも多いはずです。例えば、イベントの仕事にいっしょに連れて行ったとしても、ずっと僕のそばにいるのではなく、「自分以外の大人」に任せるように意識しています。僕のフィルターがないところで、子どもたちそれぞれが、そこにいる誰かと仲良くなっていくのが好きですね。小さくても自分の世界があるので、自分の子どもとしてというよりも、ひとりの人格として個性を尊重してあげたいです。お店でも、知らないうちに、お客さんと自然にしゃべっていて、いつのまにかウケをとっていたりしていて(笑)、コミュニケーション能力をあげてますよ。

 

Q:お手伝いはさせていますか?

隼:上の子は、みんなと盛り上がるのが好きなので、イベントの設営・搬入搬出の手伝いを、3,4歳ぐらい頃からやっていますよ。いろんな人といっしょに何かをやること、つくっていくことを体験してもらうのはいいことだと感じています。似顔絵を描く参加型のイベントなどでは、ちゃんとほかの参加者の方といっしょに列に並んで自分の順番待ちをしてくれています。子どもたちを信頼して自分たちの意志に任せているからなのか、自然にこちらの仕事を理解してくれているみたいです。

自分の苗字が堀出なので、高校生ごろからあだ名がholiday(ホリデー)で、それがふたりのユニット名や仕事の名前になっていますが、ウチの子どもたちも、自分から自然にネーミングをしてくれて、僕たちふたりを「トーチ」「みーさん」と呼んでいます。そういうセンスも自然に身に着けてくれているのかなと思います。何でも自由にしていることで、自然に自分から始めるのが普通になってくれているかもしれないです。

 
>>続きは後編で


☆holidayプロデュースのパーティーケータリングの一例

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